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ユサコ株式会社 ひらめきの となりに いつも ユサコナレッジ・サーキュレーション
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デザイン

学会ポスターの誠実なグラフ|誤解を生む6つの形と直し方(全5回・最終回)

図の欠点には3段階あります。見た目が整っていない図、読み取りを妨げる図、そして数値と見た目が合っていない図です。最後の1つは、作った本人にそのつもりがなくても、読み手は「差を大きく見せている」と受け取ります。学術ポスターでいちばん避けたいのは、これです。最終回では、作図ソフトの初期設定や慣れで起きやすい6つの誤解と、誠実な図にするための直し方を解説します。

— 見た目と数値が合っているか

シリーズ:グラフ・図表の見せ方(全5回) | 所要 約7分 | ポサコ

図の欠点は3段階で考える

段階何が起きているか対応
整っていない色や文字の大きさ、配置が雑。読めるが印象が悪い第2回・第4回の整え方で直す
読み取りを妨げる凡例との往復、6本の折れ線、4項目以上の円グラフ。読めるが時間がかかる第1回・第2回で形を選び直す
数値と合っていない値が2倍なのに図では4倍に見える。値が同じなのに違って見えるこの記事で扱う。必ず直す

誤解を生みやすい6つの形と、誠実な直し方

1目盛りが途中から始まる棒グラフ

避けたい:縦軸の目盛りが60から 606570 従来 64 反転 70 棒の長さは2.5倍。値の差は1.09倍 誠実:目盛りは0から。差が小さければ点にする 03570 従来 64 反転 70 差が見えないなら、棒をやめて「差を直接示す図」か点に
棒グラフは長さで値を表す図なので、目盛りは0から始めます。差が小さくて棒では見えないときも、目盛りを途中から始めてはいけません。差を直接示す図にするか、点で示します(ドットプロット)。

2折れ線グラフの縦軸の範囲

折れ線グラフは、位置と傾きで変化を表します。そのため、棒グラフと違って、目盛りを0から始める必要はありません。ただし、縦軸の範囲を変化の幅ぴったりにすると、わずかな変化が急な変化に見えます。上下に1〜2割の余白を取り、軸の範囲を数字で示すのが基本です。変化の大きさそのものを伝えたいなら、「基準の時点からの差」を描き直します。

3左右に別の軸を持つグラフ(2軸グラフ)

避けたい:左右に別の軸 1000 3020 交差する点に意味はないのに、「逆転」に見える 誠実:図を2枚に分け、横軸をそろえる 指標A 指標B 上下に並べれば、同じ時点を見比べられる
左右に別の軸を持つ図は、軸の範囲の取り方しだいで、線の「交差」や「逆転」を作り出せてしまいます。図を2枚に分けて上下に並べ、横軸をそろえます。

43Dの図と、面積で比べる図

避けたい:3Dの円、面積の比較 25% 25% 同じ25%が、手前と奥で違う大きさに見える 誠実:長さで比べる横棒グラフに A44% B25% C25% D6% 同じ25%は同じ長さ。4項目以上の割合は横棒グラフで
人は、面積や角度より長さを正確に比べられます。3Dの円グラフは、手前の扇が大きく見えます。円の面積で値を表す図(バブルチャート)は、値どおりに読めません。割合は横棒グラフにします。円グラフを使うなら、2〜3項目までにします。

5欠測を線でつないで隠す

避けたい:測っていない月も線でつなぐ 1月2月3月4月5月6月 3〜4月は測っていないのに、なだらかな上昇に見える 誠実:測った点に印、欠測の区間は線を切る 1月2月3月4月5月6月 (欠測) 欠けた時点も横軸に残す
折れ線グラフで点と点をつなぐ線は、視線を導くための補助で、データではありません。測っていない区間は線を切り、欠けた時点も横軸に残します。棒グラフなら、欠測の位置を空けたままにします。

6意味を書いていない誤差線

誤差線には、決まった意味がありません。標準偏差(SD)なら「ばらつきの大きさ」を表します。標準誤差(SE)や95%信頼区間(95%CI)なら「平均の推定の確かさ」を表します。同じデータでも、どれを使うかで長さがまったく違います。何を表す誤差線なのかを、図の中かキャプションに必ず書きます。

  • キャプションのかっこに「誤差線は95%CI」のように書く
  • 誤差線が重なるかどうかで有意差を判断しない。有意差を示すなら、検定の結果(p値や差の信頼区間)をかっこに書く
  • ばらつきそのものを見せたいなら、平均と誤差線ではなく、一人ひとりの点や箱ひげ図にする(第1回)

誠実な図の3つの条件

1
見た目が値に比例する
長さと位置で表す。棒グラフの目盛りは0から始め、面積と3Dで比べない。
2
条件がかっこにある
人数、誤差線の意味、検定の結果、軸の範囲を書く。読み手が確かめられる。
3
無いものを足さない
欠測を線でつながない。左右2つの軸で交差を作らない。順序のない項目を線で結ばない。
!ありがちな失敗
症状:「差を強調したいから」軸を途中から始める。

強調は、色と大きさと並び順でできます(第2回・第4回)。軸や形で差を大きく見せる必要はありません。見た目と数値が合っていない図は、質疑でその点を指摘されると、ほかの図まで信頼を失います。

印刷前の点検:6項目

  • 棒グラフの目盛りは0から始まっているか
  • 折れ線グラフの縦軸は、上下に余白があり、範囲を数字で示しているか
  • 左右に別の軸を持つグラフを使っていないか(使うなら図を2枚に分ける)
  • 3Dの図、面積で比べる図を使っていないか(割合は横棒グラフに、円グラフは2〜3項目まで)
  • 欠測の区間で線を切り、欠けた時点を横軸に残しているか
  • 誤差線が何を表すか(標準偏差・標準誤差・95%信頼区間)を書いているか

シリーズのまとめ

全5回に共通する考え方は1つです。図は、本文を読む前に結論を伝えるためにあります。そのために、次の5つを行います。

  • 伝えたいことから図の形を選ぶ(第1回)
  • 初期設定の部品を外し、4か所を直す(第2回)
  • 数字を読ませる表と、差を見せる図を分ける(第3回)
  • 強調は1色に絞る(第4回)
  • 見た目と数値を合わせる(最終回)

紙面全体のレイアウト・文字・配色は、前編「伝わる学術ポスター 実例で学ぶデザイン」(全6回)で扱っています。前編最終回の10項目のチェックリストと、本記事の6項目を合わせて、印刷前の点検にお使いください。

ポサコで実践するには

条件を書く場所が、図のすぐ下にある

  • キャプション欄 — 図のセルの直下に、結論の文と条件のかっこを書く欄があります。誤差線の意味や人数を書き忘れにくくなります。
  • 全体プレビューとPDF出力 — 印刷前に全体を縮小表示して点検し、そのままPDFで出力できます。
自分の図が誤解を生む形になっていないか、確かめたいとき。 チャットで相談する →AIが応答します
個人で発表される方へ

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テンプレートに沿って入れ替えるだけ。学会前でも、形になったポスターから始められます。

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メンバーが作るポスターの質がバラつく、指導に時間がかかる——テンプレートを研究室で共有できます。

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※本記事の図は、ポサコの作例用に自作したものです。研究データ・氏名・所属はすべて架空です。図の原則は一般的な作図・視覚化の考え方と、Web上で全文が公開されている Claus O. Wilke『Fundamentals of Data Visualization』に基づいています。