最終回 総集編:チェックリストで自分のポスターを診断
シリーズ全5回で扱った「内容・レイアウト・文字・色・図」の原則を、10項目のチェックリストにまとめました。ポスターを印刷に出す前に、このリストで自己診断してみてください。所要は10分。直せる項目が見つかれば、それだけ会場で立ち止まる人が増えます。
— 印刷ボタンを押す前の、10項目
印刷前チェックリスト(10項目)
各項目はシリーズの該当回に対応しています。判定に迷ったら、リンク先の回を読み返してください。
内容の絞り込み(第1回)
- 内容本文の文字量は論文の1/10程度・1ブロック3〜4行以内に収まっている
- 内容「削っても口頭で補える情報」を削り、会話のきっかけに絞れている
レイアウト(第2回)
- 配置段組みと見出し番号で読み順をたどれる。かつ、どのブロックも単独で意味が取れる(各節に結論1行)
- 配置同じ種類の情報が隣接し、セクション間の余白が揃っている
文字(第3回)
- 文字タイトル80pt前後(長さ次第)・本文32pt基準(A0)を目安に、階層に明確なサイズの段差がある
- 文字フォントは和文1種+欧文1種のゴシック系。太字はキーワードだけ
色(第4回)
- 色紙面をつくる色は2色(見出しの色+マーカー)。マーカーは本文の1割まで、図の強調は1点に1か所
- 色赤緑の組み合わせを避け、色以外の手がかりを併用。白黒印刷でも読み分けられる
図と写真(第5回)
- 図図表が紙面の4割以上を占め、一番の結果の図が一番目立つ場所にある
- 図キャプションが結論を語り、軸ラベル・単位・n数・統計情報が図だけで完結している
採点の目安
| チェック数 | 診断 | やること |
|---|---|---|
| 9〜10 | 会場で戦えるポスター | 最後に誤字と共著者の所属だけ再確認を。 |
| 6〜8 | あと一歩 | 外れた項目の回を読み返し、その1点だけ直す。全部やり直す必要はありません。 |
| 〜5 | もったいない状態 | まず第1回の「減らす」から。文字量が減ると、他の項目も連鎖的に直しやすくなります。 |
参考までに、シリーズ第1回のBefore/Afterをこのリストで採点すると——Beforeは2/10(フォント統一と赤緑回避のみ)、Afterは10/10です。内容は同一でも、これだけの差がつきます。
自己診断のやり方:3つのテスト
チェックリストと合わせて、実際の見え方を試す3つの簡単なテストを紹介します。いずれも印刷前にPC上でできます。
シリーズのまとめ
全6回にお付き合いいただき、ありがとうございました。振り返ると、シリーズを貫く考え方は1つです——ポスターは論文の縮小版ではなく、会話のきっかけを作る掲示物である。だから減らし、並べ、際立たせる。個々のテクニックはすべて、この1点から導かれます。
グラフや表そのものの整え方(軸・凡例・チャート選び・データの配色)は、続編のシリーズ「グラフ・図表の見せ方」で扱います。あわせてご覧ください。
このチェックリストの大半は、テンプレートが先回りします
- 10項目のうち7項目(段組み・番号・文字階層・フォント・配色・余白・図の配置)は、テンプレートを使った時点でほぼ満たせます。
- あなたが集中すべきは残りの3つ——内容を減らすこと、一番の結果を決めること、キャプションに結論を書くこと。それは研究者にしかできない仕事です。
※本記事のポスター画像は、ポサコで作成した作例です。研究データ・氏名・所属はすべて架空です。
※本チェックリストの数値基準は、発表者がポスターの前に立って説明する形式を想定したものです。発表者不在でも読み切ってもらう掲示専用の形式では、図の点数・文字量の基準が変わります。