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デザイン

第4回 配色:基本は2色、図の色は別に考える

「なんとなく地味だから」と色を足していくと、ポスターはどんどん読みにくくなります。色は飾りではなく、どこを見てほしいかを伝える機能です。配色の定石は3色ですが、図やグラフ自体が色を持つ学術ポスターでは2色をおすすめします。その2色の決め方とグラフや写真の色の扱い、誰にでも伝わる配色のための色覚多様性への配慮を解説します。

— 色数を絞るだけで、紙面は見違える

シリーズ:伝わる学術ポスター 実例で学ぶデザイン(全6回) | 所要 約6分 | ポサコ

原則 1配色は一般に3色。学術ポスターは2色をおすすめします

配色の定石はメインカラー・サブカラー・アクセントカラーの3色です。広告やスライドでは、この3色で紙面の印象をつくります。

ただ学術ポスターでは、紙面をつくる色は2色に絞ることをおすすめします。理由は、ポスターの主役であるグラフ・写真・模式図がそれ自体で色を持っているからです。紙面の側で3色使うと、図の色と合わせて4色以上が同じ紙面に並び、どこを見ればよいのか分からなくなります。

2色の役割は、1色目が見出しの帯に使う色、2色目が本文の中で「ここを見てほしい」と示すマーカーの色です。グラフや写真の色は、この2色とは別に数えます

使う場所量の目安選び方
1色目(見出しの色)タイトル帯・見出しの帯・枠線・番号制限なし分野の慣例色や所属機関のカラーから1色。迷ったら青系
2色目(マーカー)本文の中で読ませたい語・数字本文の5〜10%1色目と見分けのつく色を1色
図の色グラフ・模式図・写真強調は図1点に1か所強調しない要素は1色目の濃淡でそろえる
本文と地本文・背景残り全部黒(濃いグレー)と白

見出しの帯は面積を気にしなくて構いません。一方で2色目は「そこだけ見てほしい」の合図なので、量が増えると合図として効かなくなります。本文の1割までを目安にしてください。

見出しの帯=1色目 1色目の濃淡 紙面:黒い本文と白い地に、1色目+マーカー(2色目) 図の中だけ、もう1色 ここだけ 強調は図1点に1か所。ほかは1色目の濃淡
紙面をつくるのは1色目(見出しの帯)と2色目(マーカー)の2色。グラフや写真の色は別枠で数え、強調は図1点につき1か所だけにします。

前回までのAfterポスターも、白地+青系の1色でほぼ構成されていて、色を足しているのは一番の数字と図の1か所だけです。色数を絞ると、それだけで「整った印象」と「どこが大事か」が同時に手に入ります。

原則 2濃淡は色数に入らない——階層は同じ色の濃さで

「2色では足りない」と感じたら、色を増やすのではなく1色目の濃淡を使います。見出し帯は濃く、表のヘッダーはやや濃く、背景の帯はごく薄く——同じ色相の濃淡なら、何段階使っても紙面はうるさくなりません。

  • グラフで系列を分けるときも、まず1色目の濃淡で考える(強調したい1系列だけ図の強調色、ほかは濃淡でそろえる)
  • ベタ塗りの帯を増やすより、薄い色面で区切るほうが本文の可読性を保てます
!ありがちな失敗
症状:セクションごとに色を変える。グラフの系列ごとに原色を並べる。

色に「区別」の仕事をさせすぎるパターンです。セクションの区別は配置と見出し(第2回)が、階層はサイズ(第3回)がすでに担っています。色まで動員すると、本当に目立たせたい1か所が埋もれます。色の仕事は「ここを見てほしい」に取っておくのが基本です。

原則 3色覚多様性(CUD)への配慮

男性の約5%・女性の約0.2%は、赤と緑の区別がつきにくい色覚特性を持つといわれます。学会会場の数十人に1人は、赤緑の塗り分けグラフを読み分けられない——これはデザインの好みではなく、伝わるかどうかの問題です。

  • 赤と緑の組み合わせで情報を分けない(青×オレンジは判別しやすい組み合わせの代表)
  • 色だけに頼らない——線種(実線/破線)、マーカー形状(○△□)、直接ラベルを併用する
  • 文字と背景の明度差(コントラスト)を確保する。薄い色の上の白抜き文字は要注意
  • 迷ったらグレースケールで印刷してみる。白黒で読み分けられれば、ほぼ誰にでも伝わります
避けたい:色だけで区別 伝わる:形・線種・ラベル併用 A群 B群 A群 B群
同じ2系列の折れ線。右は「色+マーカー形状+線種+直接ラベル」の4重の手がかりがあり、色覚特性やモノクロ印刷でも読み分けられます。

色を決める順番

STEP 1
1色目を決める
見出しの帯に使う色。分野の慣例色や機関カラーから1色。
STEP 2
2色目はマーカーだけ
読ませたい語と数字に。本文の5〜10%まで。
STEP 3
図の色は別に決める
強調は図1点に1か所。ほかは1色目の濃淡でそろえる。

今日からできるチェックポイント

  • 紙面をつくる色は2色に収まっているか(濃淡はカウントしない)
  • マーカー(2色目)は読ませたい語だけに付き、本文の1割以内か
  • 図の強調は1点につき1か所か。ほかの要素は1色目の濃淡でそろっているか
  • 赤と緑の組み合わせで情報を区別していないか
  • グラフは色以外の手がかり(形・線種・ラベル)を併用しているか
  • グレースケールで印刷しても読み分けられるか
ポサコで実践するには

配色は選ぶだけ、崩れない

  • 配色セット — 1色目と2色目の関係が設計済みのテーマから選ぶだけ。色数が勝手に増えません。
  • 見出し帯・表ヘッダーの連動 — 1色目を変えると濃淡も一括で変わるため、階層の一貫性が保たれます。
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テンプレートに沿って入れ替えるだけ。学会前でも、形になったポスターから始められます。

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メンバーが作るポスターの質がバラつく、指導に時間がかかる——テンプレートを研究室で共有できます。

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次回は「図と写真」。ポスターで本文より先に見られるのは、実は図です。図を「飾り」から「主役」に変える作り方を解説します。

※本記事のポスター画像は、ポサコで作成した作例です。研究データ・氏名・所属はすべて架空です。色覚特性の割合は一般に引用される概数です。グラフの配色はシリーズB「グラフ・図表の見せ方」でさらに詳しく扱います。

VOICE レイアウトが先に決まっているから、
伝えたいことが整理できる