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デザイン

第5回 図と写真:「飾り」でなく「主役」にする

ポスターの前で立ち止まった人が最初に見るのは、タイトルと図です。本文はそのあと、読む価値がありそうだと判断した人だけが読みます。つまり図はタイトルと並んで最初に伝える役割を負っていて、「文章の添え物」になっているポスターは、その最初の数秒を捨てています。図を主役に据えるための4つの原則——大きさ・1図1メッセージ・自己完結・写真の扱い——を解説します。

— 本文より先に、図が読まれる

シリーズ:伝わる学術ポスター 実例で学ぶデザイン(全6回) | 所要 約6分 | ポサコ

原則 1図は大きく、数は絞る

小さな図を10個並べるより、選び抜いた図を大きく見せるほうが伝わります。目安として、紙面の4割以上を図表に使いましょう。図が本文の隙間に押し込まれているようなら、主役と脇役が逆転しています。

「どの図を大きくするか」は簡単で、口頭発表なら最初に見せるスライドの図——つまり主要な結果の図です。それを紙面で一番大きく見せます。最上段に置くと分かりやすいですが、結果のブロックの中で一番大きく扱う形でも構いません。

Beforeポスターでは棒グラフとフォレストプロットが小さく、長い本文の下に押し込まれている。
Before:主要な結果の図が、長い本文の下に小さく置かれ、キャプションも「図1」「図2」だけ。図が「本文の証拠品」扱いになっています。
Afterポスターでは主要結果の3つの図が最上段に大きく並ぶ。
After:同じ図を最上段に大きく。見出しが結論を語り、図がそれを証明する構図です。

原則 21図1メッセージ——キャプションに結論を書く

1つの図に言わせることは1つに絞ります。そして、その言い分をキャプションに書いてしまいましょう。

「図2. 1年後歩行自立率」は図の名前でしかありません。「図2. 1年後歩行自立率(68.2% vs 52.6%, P<0.001)」なら、図の結論まで伝わります。図とキャプションだけを拾い読みする読者(実は多数派です)に、本文なしで要旨が伝わるようになります。

ラベル型(惜しい)メッセージ型(伝わる)
図1図1. 対象選定の流れ(465例を解析)
図2. 歩行自立率図2. 1年後歩行自立率(68.2% vs 52.6%, P<0.001)
図4. サブグループ解析図4. 多変量解析・サブグループ解析(関連の方向は一貫)

原則 3図は「自己完結」させる

図の周りには、読まなくても分かるための最低限の部品があります。どれか1つ欠けるだけで、読者は本文との往復を強いられます。

  • 軸ラベルと単位——「%」だけでなく「歩行自立(%)」まで書く
  • n数——群ごとの例数を軸の下やキャプションに
  • 凡例または直接ラベル——できれば線・棒のすぐそばに直接書く(視線の往復が減ります)
  • 統計情報——P値・信頼区間は図中かキャプションに。本文にだけ書かない

スライド用の図をそのまま流用すると、この部品が欠けがちです。スライドは口頭で補えますが、ポスターはあなたが席を外している間も掲示され続けます。図の自己完結は、不在時のあなたの代弁者です。

原則 4写真は解像度とキャプションで決まる

顕微鏡写真・装置写真・フィールド写真などを使う場合の注意点です。

  • 解像度——A0印刷では、画面で見るより粗さが目立ちます。原寸配置で150〜300dpiを目安に、元データの大きい画像を使う(Webからの流用画像は大抵足りません)
  • スケールバー・矢印——顕微鏡写真にはスケールバー、注目部位には矢印やラベルを。読者は「どこを見ればいいか」を知りません
  • キャプション必須——写真こそ「何が写っていて、何に注目か」を書く
  • 飾り写真は入れない——本文と関係のないイメージ写真は、情報の密度を下げるだけです。空いたスペースは余白のままで構いません(第2回)
!ありがちな失敗
症状:Excelの初期設定のまま貼ったグラフ。細い線・小さい軸文字・不要な枠線と目盛線。

画面用の初期設定は、掲示距離では読めません。ポスターに載せるグラフは線を太く(2〜3倍)、軸の文字を大きく(本文と同等以上)、不要な目盛線・枠線・影を削除——この3点だけで見違えます。グラフ別の整え方はシリーズB「グラフ・図表の見せ方」で詳しく扱います。

今日からできるチェックポイント

  • 図表が紙面の4割以上を占めているか
  • 一番大事な結果の図が、紙面で一番大きく扱われているか
  • キャプションが「名前」でなく「結論」を書いているか
  • 軸ラベル・単位・n数・統計情報が図だけで完結しているか
  • 写真に十分な解像度とスケール・注目ラベルがあるか
ポサコで実践するには

図を主役に置ける器がある

  • 図優先のレイアウト — 図を大きく配置するブロックがテンプレートに用意されており、「本文の隙間に押し込む」構図になりません。
  • キャプション欄つき — 図ブロックにはキャプション欄が付属。メッセージ型キャプションを書く場所に迷いません。
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テンプレートに沿って入れ替えるだけ。学会前でも、形になったポスターから始められます。

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研究室で品質をそろえたい

メンバーが作るポスターの質がバラつく、指導に時間がかかる——テンプレートを研究室で共有できます。

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次回はいよいよ総集編。ここまでの5回分を10項目のチェックリストにまとめ、自分のポスターを自分で診断する方法を紹介します。

※本記事のポスター画像は、ポサコで作成した作例です。研究データ・氏名・所属はすべて架空です。デザインの原則は一般的な作図・視覚化の考え方に基づいています。

VOICE レイアウトが先に決まっているから、
伝えたいことが整理できる