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ユサコ株式会社 ひらめきの となりに いつも ユサコナレッジ・サーキュレーション
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学会ポスターのグラフの選び方|伝えたいことから図の形を決める(全5回・第1回)

「このデータは数値だから棒グラフ」「時系列だから折れ線グラフ」。データの種類から図の形を決めると、無難な図にはなりますが、結論が見える図にはなりません。同じデータでも、差を見せたいのか、前後の変化を見せたいのか、ばらつきを見せたいのかで、選ぶ形は変わります。第1回では、伝えたいことから図の形を選ぶための早見表と、ポスターで主役にする図の決め方を解説します。

— 図の形は「伝えたいこと」で決める

本シリーズが対象とするポスター:学会のポスターセッションで、発表者がポスターの前に立って説明する一般的な形式を想定しています。図の中身(軸・凡例・色)は、お手元の作図ソフト(PowerPointや統計ソフトなど)で整えます。ポスターの上では、図の配置・大きさ・キャプション(図に添える説明文)を整えます。本シリーズは、この分担で説明します。
シリーズ:グラフ・図表の見せ方(全5回) | 所要 約7分 | ポサコ

原則 1図の形は、データの種類ではなく「伝えたいこと」で選ぶ

同じ「2群の得点」のデータでも、伝えたいことによって図は変わります。

  • 群の差を伝えたいなら、棒グラフ
  • 一人ひとりがどう変わったかを伝えたいなら、前後の値を線で結んだ図(スロープグラフ)
  • ばらつきの大きさを伝えたいなら、一人ひとりの値を点で示した図
  • 別の要因との関係を伝えたいなら、散布図

図を作る前に、その図のキャプションに書く結論を一文で書いてみてください。「反転授業群の伸びは従来群の2倍以上」なら、差を見せる棒グラフです。「出席率と伸びの関係は弱い」なら、散布図です。結論の文を先に決め、図の形はそのあとで選びます。

差を見せる 従来 反転 棒 前後の変化を見せる 事前 事後 スロープグラフ ばらつきを見せる 従来 反転 一人ひとりの点+平均 関係を見せる 出席率 → 散布図
同じ「2群の得点」のデータでも、伝えたいことが違えば図の形は変わります。先に結論の文を決め、それに合う形を選びます。

チャート選定の地図——伝えたいことから図の形を選ぶ

学術ポスターで使う頻度の高い形に絞った早見表です。左の列から自分の結論の文に合う行を選び、右へ読んでください。

伝えたいこと第一候補代わりの形ポスターでの注意
量を比べる(群・条件・項目)棒グラフドットプロット(値を点で示す図。棒の先端の差が小さいとき)棒グラフの目盛りは0から始める。値の大きい順に並べる。項目名が長ければ横棒グラフにする(第2回)
前後・2時点の変化スロープグラフ対応のある散布図(前の値を横軸、後の値を縦軸にして、x=yの対角線を1本引く)2時点に絞ると、増えたか減ったかが一番はっきり分かる
時間の推移折れ線グラフ面グラフ(量の印象も残したいとき)線は4〜5本まで。多ければ図を分け、縦軸の範囲をそろえる(第2回)
割合・内訳横棒グラフ(割合の大きい順)円グラフ(2〜3項目まで)、積み上げ棒グラフ(2要素まで)円グラフは12時の位置から始め、値は扇の中に書く。4項目以上は横棒グラフにする
ばらつき・分布一人ひとりの点+平均ヒストグラム(値の分布を棒で示す図)、箱ひげ図平均と誤差線だけで分布を示さない(最終回)
2つの量の関係散布図—横軸に原因、縦軸に結果。点が重なるなら、点を半透明にする
不確かさ誤差線・信頼帯(折れ線の周りに帯で示した信頼区間)—誤差線が標準偏差(SD)・標準誤差(SE)・95%信頼区間(95%CI)のどれを表すかを必ず書く(最終回)
正確な数値そのもの表—傾向や差を見せたいなら図に変える(第3回)

「円は2〜3項目まで」「折れ線は4〜5本まで」「積み上げ棒は2要素まで」は、読み手が図から値を取り出せる範囲として置いた目安です。

この表をA4・1枚にまとめました

図を作る前に手元で見られるように、印刷用のPDFを用意しています。

原則 2主役の図は1枚。結論を語る図を、いちばん大きく置く

形を選んだら、次はポスターでの扱いです。結果の図が4枚あるとき、4枚を同じ大きさで並べると、読み手はどの図が結論なのか分かりません。結論を語る図を1枚決めて、ほかより明らかに大きく置きます。補助の図は小さく置きます。本筋に関わらない図は外し、「詳細は論文を参照」とQRコードで案内します。

言葉だけより、言葉と図があるほうが伝わります。ただしそれは、図が結論を語っているときの話です。似た図が同じ大きさで並ぶと、どの図も記憶に残りません。

Beforeの結果セクション。図が4枚、同じ大きさで2×2に並び、キャプションは「図1」〜「図4」だけで図の上にある。
Before:図4枚が同じ大きさで並び、どれが主役か分からない。キャプションは「図1」だけで、図から離れた上の位置に置いてあります。
Afterの結果セクション。主役の棒グラフを左に大きく、補助の図2枚を右に小さく置き、キャプションは図の直下で結論の文から始まる。
After:結論を語る棒グラフを左に大きく、補助の2枚を右に小さく。満足度の図は外しました。キャプションは図の直下に、結論の文から始めています。

原則 3複雑な図は読まれない。単純な図を2枚にする

多くの変数を1枚に詰めた図は、作った本人には読めます。しかし、通路を歩く人は読み解きに時間をかけてくれません。多くの変数を盛り込んだ図1枚より、単純な棒グラフ2枚のほうが伝わります。複雑な図がどうしても要るときは、先に単純な図で要点を見せ、そのあとで全体の図を見せます。

  • 伝えたい1点を決め、それに関係しない要素(系列や条件)を図から外す
  • 線が増えたら、1枚に重ねずに図を分ける(縦軸の範囲はそろえる)
  • 比較の相手は1つに絞る。「前年比・他群比・全体比」を同じ図に載せない
!ありがちな失敗
症状:論文の図(Figure 1〜6)をそのままポスターに並べる。

論文の図は、本文を読みながら細部を確かめるために作られています。ポスターの図は、本文を読む前に結論を伝えるものです。同じデータでも、ポスター用に「主役1枚+補助2枚」へ組み替えるところから始めます。

今日からできるチェックポイント

  • 図を作る前に、その図のキャプションに書く結論を一文で書いたか
  • 図の形は、データの種類ではなく伝えたいことで選んだか(上の地図で確認)
  • 結論を語る主役の図が1枚決まり、ほかより明らかに大きいか
  • 本筋に関わらない図は外し、QRコードで論文に案内したか
  • 1枚の図に載せる系列・条件は、伝えたい1点に絞ったか
ポサコで実践するには

図の中身は作図ソフトで、置き方はポサコで

  • 図は画像で入れる — 作図ソフトで整えた図をPNG・JPEG・SVGで書き出し、ポスターの図のセルに入れます。主役の図のセルを広げ、補助の図を小さく置く配置が、テンプレートの上で決められます。
  • キャプション欄つき — 図のセルの直下にキャプション欄があり、結論の文を書く場所に迷いません。
自分のデータをどの図にすればよいか決まらないとき。 チャットで相談する →AIが応答します
個人で発表される方へ

まずは無料で試してみる

テンプレートに沿って入れ替えるだけ。学会前でも、形になったポスターから始められます。

無料で試してみる
研究室・機関でご利用の方へ

研究室で品質をそろえたい

メンバーが作るポスターの質がバラつく、指導に時間がかかる——テンプレートを研究室で共有できます。

グループ利用の相談をする

次回は、いちばんよく使う棒グラフと折れ線グラフを取り上げます。作図ソフトの初期設定のまま貼った図を、「いったん部品を外してから、4か所を直す」手順で整えます。

※本記事のポスター画像と図は、ポサコの作例用に自作したものです。研究データ・氏名・所属はすべて架空です。図の原則は一般的な作図・視覚化の考え方と、Web上で全文が公開されている Claus O. Wilke『Fundamentals of Data Visualization』に基づいています。