メインコンテンツへスキップ
ユサコ株式会社 ひらめきの となりに いつも ユサコナレッジ・サーキュレーション
89枚の作例
デザイン

学会ポスターの表と図解|数字を読ませるか、差を見せるか(全5回・第3回)

論文の表をそのままポスターに貼ると、読み手は多くの数字の中から差を探すことになります。表は、正確な値を読んでもらうためのものです。差や傾向を一目で見せるためのものではありません。第3回では、次の3つを解説します。表を残すときと図に変えるときの見分け方、表を残すときの整え方、表を1枚の図に変える手順です。

— 数字を読ませるか、差を見せるか

シリーズ:グラフ・図表の見せ方(全5回) | 所要 約6分 | ポサコ

原則 1数字そのものを読ませるなら表、差や傾向を見せるなら図

表と図は役割が違います。表は、個々の値を正確に取り出すためのものです。「対象者の平均年齢は何歳か」「各群の人数はいくつか」に答えます。図は、値どうしの関係を一目で見せるものです。「どちらが大きいか」「どれだけ違うか」「増えているか減っているか」に答えます。

ポスターの「結果」で伝えたいのは、ほとんどの場合「差」です。そのため、結果の表は図に変える候補になります。一方、対象者の背景(年齢、性別、疾患の内訳)のように正確な値が要る情報は、表のまま整えて残します。

表のまま残す図に変える
対象者の背景・基本属性(年齢、性別、人数)群の間の差(主要な評価項目の比較)
正確な数値を引用してほしいとき(係数、信頼区間)時間や用量に沿った変化
比較の軸が複数あり、1つの図に収まらないとき項目の大小の順位
行が少なく、ひと目で読み切れるとき行が多く、傾向だけ伝わればよいとき

原則 2表を1枚の図に変える手順

結果の表を図にするときは、次の3段階で進めます。

STEP 1
伝えたい1行を決める
表の中で結論を担う行(または列)を1つ選ぶ。残りは補助の図にするか、QRコードで論文に案内する。
STEP 2
差を直接描く
「事前」と「事後」を並べるのではなく、「伸び(事後−事前)」を1本の棒にする。
STEP 3
条件はかっこの中に
人数、誤差線の意味、検定の結果はキャプションのかっこに書く。図の中には主張だけを置く。
Before:論文の表をそのまま 項目従来 (n=51)反転 (n=48)p 事前得点53.0 (9.8)52.0 (10.1).62 事後得点60.1 (10.3)70.4 (9.6)<.001 伸び7.1 (8.9)18.4 (9.4)<.001 読み取り領域2.0 (3.1)5.4 (3.0)<.001 推測領域1.8 (2.9)4.1 (3.2).002 出席率 (%)86.2 (7.0)88.1 (6.4).18 表1. 群別の得点(平均 (SD)) 差を探すのは読み手の仕事になっている
Before:6行×4列の表。結論の「伸びの差」は3行目に埋もれ、縦罫線と小数の列が読み取りを遅くしています。
After:伝えたい1行を、差そのものの図に 05101520 +7.1 +18.4 従来講義 反転授業 n=51 n=48 伸び(点) 図1. 反転授業群の伸びは従来群の2倍以上 (事後−事前、n=48/51、誤差線は95%CI、p<.001)
After:結論を担う「伸び」の行だけを棒にし、条件はキャプションのかっこへ。ほかの行は補助の図にするか、QRコードで論文に案内します。

原則 3表を残すなら、罫線を引かず、数値を右にそろえる

対象者の背景のように表のまま残す情報も、論文の書式のままでは読みにくいです。整え方は次の5つです。

  • 縦の罫線を引かない。横の罫線は、見出しの下と表の外枠だけにする。行の区別は、罫線ではなく1行おきの薄い色で付ける
  • 数値は右にそろえ、小数の桁数をそろえる。桁がそろうだけで、最大値と最小値を見つける速さが変わる
  • 単位は値に混ぜず、見出しに書く。「79.4歳」「54%」ではなく、見出しを「年齢(歳)」「女性(%)」にして、値は数字だけにする
  • 文字の列は左にそろえる。見出しのそろえ方は、その列の値と同じにする
  • キャプションは表の上に置く(図は下、表は上が慣例)。行数はひと目で読み切れる範囲に絞り、残りはQRコードで論文に案内する
避けたい:縦罫線・単位が値に混在・左そろえ 項目従来反転 年齢19.2歳19.1歳 女性54%58.3% 出席率86.2%88.1% 伝わる:縦罫線なし・単位は見出しへ・数値は右そろえ 項目従来反転 年齢(歳・平均)19.219.1 女性(%)54.058.3 出席率(%・平均)86.288.1 同じ3行の表。右は縦罫線を外し、単位を見出しに移し、数値を右そろえ・小数1桁にそろえたもの
表は、部品を減らして整えます。罫線を減らし、単位を見出しに移し、桁をそろえる。それだけで、値を取り出す速さが変わります。

原則 4フロー図・模式図も「本筋だけ」

対象者の選定の流れや研究の手順を示すフロー図も、表と同じ考え方で扱います。論文のフロー図には、除外の理由や枝分かれがすべて書いてあります。ポスターでは本筋の1本だけを残し、枝は人数をまとめて1つの箱にします。矢印の数が減るほど、読み手は流れを追いやすくなります。

避けたい:論文のフロー図をそのまま 履修登録 212名 同意あり 160名 同意なし 41欠席 11 反転授業 78名 従来講義 82名 事後測定 61名 事後測定 64名 解析 48名 解析 51名 脱落 17欠損 13 脱落 18欠損 13 箱9個・矢印8本。理由の列挙で流れが見えない 伝わる:本筋の1本だけ残す 同意あり 160名 反転 78名/従来 82名 解析 48名/51名 脱落・欠損 61名 箱3個・矢印2本。除外の内訳はQRコードで論文へ 箱の中は「段階の名前+人数」だけ
同じ対象者選定の流れ。右は本筋の1本だけを残し、除外の内訳を1つにまとめたもの。箱の中の文字も、ポスターに置いた大きさで24pt以上にします。
  • 箱は4〜6個を目安にする。それ以上になるなら、枝分かれを1つにまとめる
  • 箱の中は「段階の名前+人数」だけにする。理由の列挙は、QRコードで論文に案内する
  • 箱の中の文字も、ポスターに置いた大きさで24pt以上にする(第2回の軸の文字と同じ)
!ありがちな失敗
症状:表を画像として貼る。小さい文字のまま、縦罫線のまま。

表計算ソフトや論文のPDFから切り出した表は、ポスターに置くと文字が小さすぎます。表はポスターの上で作り直すか、作図ソフトで整えてから、本文と同じ程度の文字の大きさで入れ直します。

今日からできるチェックポイント

  • 結果の表のうち、結論を担う行を1つ決め、差を直接示す図にしたか
  • 表のまま残すのは、正確な値が要る情報(背景・人数)だけか
  • 残した表は、縦の罫線なし、数値は右そろえ、単位は見出しに、となっているか
  • 表のキャプションは上、図のキャプションは下になっているか
  • フロー図は本筋1本、箱は4〜6個に収まっているか
ポサコで実践するには

表はポスター上で作り直せる

  • 表のセル — 表はポスター上で直接作れるので、画像で貼る必要がありません。文字の大きさは本文と同じ基準でそろいます。
  • 図と表のキャプション欄 — 図は下、表は上。キャプション欄の位置がセルごとに用意されています。
どの表を図に変え、どの表を残すか迷うとき。 チャットで相談する →AIが応答します
個人で発表される方へ

まずは無料で試してみる

テンプレートに沿って入れ替えるだけ。学会前でも、形になったポスターから始められます。

無料で試してみる
研究室・機関でご利用の方へ

研究室で品質をそろえたい

メンバーが作るポスターの質がバラつく、指導に時間がかかる——テンプレートを研究室で共有できます。

グループ利用の相談をする

次回は配色です。色の役割は、区別・数値・強調の3つだけです。区別は3〜5色まで、数値は濃淡、強調は1色とグレー。色の見え方の違いや白黒印刷にも耐える配色を解説します。

※本記事の図と表は、ポサコの作例用に自作したものです。研究データ・氏名・所属はすべて架空です。図の原則は一般的な作図・視覚化の考え方と、Web上で全文が公開されている Claus O. Wilke『Fundamentals of Data Visualization』に基づいています。