メインコンテンツへスキップ
ユサコ株式会社 ひらめきの となりに いつも ユサコナレッジ・サーキュレーション
89枚の作例
デザイン

学会ポスターの強調色|目を引く色を少なく使う(第3回)

会場の通路から紙面を見たとき、最初に目に入る色があります。色が人の目を引く力を誘目性(ゆうもくせい)と呼びます。誘目性には、色の三属性に沿った決まった傾向があります。第3回では、その傾向を使って強調色を選ぶ方法と、目を引く色を「少なく使う」理由を解説します。

— 誘目性から、図の強調色とマーカーの色を選ぶ

ポサコデザインシリーズ③:ポスターの色彩 | 所要 約6分 | ポサコ

原則 1目を引くのは、あざやかな暖色

色の誘目性には、次の傾向があります。

  • 無彩色(白・灰・黒)より、有彩色の方が目を引く
  • 彩度の低い色より、彩度の高い色の方が目を引く
  • 寒色(青・青緑)より、暖色(赤・橙・黄)の方が目を引く

この傾向は、地が白でも黒でも変わらないとされています。図の中で「ここを見てください」と示す強調色は、彩度の高い暖色から選ぶと、少ない面積でも目に入ります。

目を引きにくい目を引きやすい 灰くすんだ青あざやかな青くすんだ橙あざやかな橙あざやかな赤 無彩色寒色・低彩度寒色・高彩度暖色・低彩度暖色・高彩度暖色・高彩度
誘目性の傾向を並べた見本です。強調色の候補は右側の、彩度の高い暖色です。並びはおおよその傾向を示したもので、厳密な順位ではありません。

原則 2強調色は、1色目と色相か明度がはっきり違う色にする

図の強調色は、紙面の1色目(見出しの帯の色)と見分けがつかなければ、強調になりません。1色目と色相か明度のどちらかがはっきり違う色にします。

1色目(見出しの帯)図の強調色の例違いの付け方
青系橙系色相を変える。青と橙は、色の見え方が違う人にも見分けやすい組み合わせ(最終回)
緑系赤紫系・橙系色相を変える。赤と組み合わせると、見分けにくい人がいる
赤・橙系(指定色など)濃い青系色相と明度の両方を変える
紺・濃い灰あざやかな橙・黄みの赤彩度と明度を変える

強調色は、ポスター内のすべての図で同じ色にします(ポサコデザインシリーズ②の第4回)。図ごとに強調色を変えると、「同じ色は同じ意味」という読み手の手がかりがなくなります。

強調色を図の文字(数値のラベルなど)にも使うときは、白い地とのコントラスト比 4.5:1 を確かめます(第2回)。あざやかな橙は図形には使えても、文字にすると薄すぎることがあります。そのときは同じ色相のまま、文字だけ一段濃くします。

原則 3目を引く色は、少ないから目を引く

あざやかな暖色でも、紙面のあちこちに使うと、どれも目立たなくなります。周りと違うものが1つだけあると目立つ、という見え方は孤立効果と呼ばれています。強調が効くのは、強調が少ないときだけです。

避けたい:強調が5か所 反転授業群は事前得点が同等で、 伸びは+18.4点。従来の2倍以上だった。 出席率との相関は弱く、 グラフの読み取りの差が最大。 どれが結論か分からない 伝わる:1節に1か所 反転授業群は事前得点が同等で、 伸びは+18.4点、従来の2倍以上だった。 出席率との相関は弱く、 グラフの読み取りの差が最大。 節の結論の数値に、マーカー1か所だけ
マーカーの色を3色使い、赤い太字も混ぜると、強調どうしが打ち消し合います。マーカーは1色、1節に1か所(多くて2か所)にします。

ポサコの作例では、量の目安を次のように置いています(ポサコデザインシリーズ①の第4回と同じ)。

  • マーカー(2色目):本文の文字数の5〜10%まで。1節に1か所、多くて2か所
  • 図の強調色:図1点につき1か所
  • それ以上に強調したいときは、色ではなく太字を使う(太字は色の量に数えない)

原則 4色の意味と、伝えたい内容をそろえる

色には、社会の中で決まった意味を持つものがあります。赤は、日本産業規格の安全色(JIS Z 9103)で、防火・禁止・停止・高度の危険を表す色です。結論の数値を赤で何か所も強調すると、読み手には「警告」の印象が混ざります。

  • 結論や良い結果の強調には、橙・濃い黄み・青などを使う。赤は、副作用・リスク・制限など、注意を促す内容に取っておく
  • 温度なら「高い=赤、低い=青」、植物なら緑、水なら青のように、読み手が連想する色に合わせる。連想と逆の色分けは、読み違いのもとになる
  • 所属機関や学会の色を「良い・悪い」の意味に使わない
!ありがちな失敗
症状:見出しの帯・マーカー・図の強調色を、すべてあざやかな色にする。

紙面のすべての色が目を引こうとすると、どこから読めばよいか分からなくなります。面積の大きい見出しの帯は彩度を控え、あざやかな色は図の強調とマーカーの小さな面積だけに使います。面積と色の見え方の関係は、第5回で扱います。

今日からできるチェックポイント

  • 図の強調色は、彩度の高い色か(暖色なら少ない面積でも目に入る)
  • 強調色は、1色目(見出しの帯)と色相か明度がはっきり違うか
  • ポスター内のすべての図で、同じ強調色を使っているか
  • マーカーは1色で、1節に1か所(多くて2か所)か
  • 図の強調は、図1点につき1か所か
  • 赤を、注意を促す内容以外の強調に多用していないか
ポサコで実践するには

マーカーは1色。紙面の色はプリセットで

  • 配色のプリセット — 1色目と2色目の関係が設計済みのプリセットから選べます。マーカーの色は紙面で1色にそろいます。
  • ポスター配色シミュレーター — 紙面の配色と、図の強調色の候補を確かめられます(無料)。
どこを強調すればよいか、絞り込めないとき。 チャットで相談する →AIが応答します
個人で発表される方へ

まずは無料で試してみる

テンプレートに沿って入れ替えるだけ。学会前でも、形になったポスターから始められます。

無料で試してみる
研究室・機関でご利用の方へ

研究室で品質をそろえたい

メンバーが作るポスターの質がバラつく、指導に時間がかかる——テンプレートを研究室で共有できます。

グループ利用の相談をする

次回は「対比と同化」です。同じ色でも、隣に置く色によって明るく見えたり、あざやかに見えたりします。地の色と図の色を決めるときの注意を解説します。

※本記事の図と例文は、ポサコの作例用に自作したものです。研究データはすべて架空です。安全色の意味は JIS Z 9103「図記号―安全色及び安全標識―安全色の色度座標の範囲及び測定方法」によります。