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ユサコ株式会社 ひらめきの となりに いつも ユサコナレッジ・サーキュレーション
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デザイン

学会ポスターの色の選び方|色相・明度・彩度で役割に合う色を決める(第1回)

「もう少し明るい青に」「落ち着いた赤で」。色を言葉で伝えると、受け取る人によって違う色になります。色は、色相・明度・彩度の3つの物差しで表せます。この3つを使うと、見出しの帯・マーカー・図の強調色に、それぞれどんな色が向くかを説明できます。第1回では、3つの物差しと、ポスターの色の役割との対応を解説します。

— 色相・明度・彩度で、役割に合う色を選ぶ

ポサコデザインシリーズ③:ポスターの色彩 | 所要 約6分 | ポサコ

原則 1色は、色相・明度・彩度の3つでできている

どの色も、次の3つの性質の組み合わせで表せます。この3つを色の三属性と呼びます。

  • 色相(しきそう):赤・黄・緑・青といった色みの違い
  • 明度(めいど):明るさの度合い。白に近いほど高く、黒に近いほど低い
  • 彩度(さいど):あざやかさの度合い。灰色(無彩色)に近いほど低い
色相 色みが変わる 明度 明るさが変わる 彩度 あざやかさが変わる 灰色(彩度が低い)あざやか(彩度が高い)
同じ「青」でも、明度と彩度が変わると別の色になります。言葉で「青」と言っただけでは、どの青かは決まりません。

明度と彩度をまとめた見方をトーン(色の調子)と呼びます。「明るく淡い」「暗く落ち着いた」「あざやか」といった印象は、色相よりもトーンで決まる部分が大きいとされています。同じトーンの色をそろえると、色相が違っても紙面にまとまりが出ます。

原則 2ポスターの色の役割は、三属性で言い分けられる

ポサコデザインシリーズ①の第4回では、紙面をつくる色を2色にしました。1色目は見出しの帯の色、2色目は本文の中のマーカーの色です。図の強調色は、この2色とは別に数えます。それぞれの役割に向く色は、三属性で次のように言い分けられます。

役割明度彩度理由
1色目(見出しの帯)中〜低中帯の上に白い文字を置くので、白との明るさの差が要る。面積が大きいので、あざやかすぎない色にする
2色目(マーカー)高低〜中マーカーの上で黒い本文を読むので、明るい色にする。1色目と明るさの差を付けると、白黒でも見分けられる
図の強調色中高細い線や小さな点でも目に入る色にする。1色目と色相か明度がはっきり違う色にする(第3回)
強調しない要素中〜高低(または0)強調色より先に目に入らないよう、彩度を下げて引かせる

紙面の色は2色までにします。学術ポスターでは、グラフや写真、模式図がそれ自体で色を持つためです。紙面の側で3色使うと、図の色と合わせて4色以上が並びます。その2色の濃淡と、グレーは使ってよい色です(色数に数えません)。強調しない要素には、1色目の淡い濃淡かグレーを使います。グレーは彩度が0の色、1色目の淡い濃淡は彩度の低い色で、どちらも強調色を目立たせるために彩度を下げた色です。紙面全体のまとまりを出したいときは1色目の濃淡、どの紙面にも同じ図を使い回したいときはグレーが扱いやすくなります。

原則 3濃淡は、色相を変えずに明度だけを変える

「2色では足りない」と感じたときは、色を足す代わりに同じ色の濃淡を使います(ポサコデザインシリーズ①の第4回)。濃淡を作るときは、色相をそのままにして、明度を等しい間隔で変えます。色相が同じか近い色で明度差を付ける配色は、トーンオントーン配色と呼ばれています。

避けたい:色相も一緒に動いた濃淡 青→青緑→黄緑。段ごとに色みが変わり、 濃さの順序ではなく別々の色に見える 伝わる:色相を固定し、明度を等間隔に 同じ青のまま、明るさの段差が一定。 白黒にしても3段の順序が残る 白黒にすると
濃淡の段差は、明るさで等しく取ります。段差が一定だと、白黒印刷や色の見え方が違う人にも、濃い・中間・淡いの3段が伝わります。

色の組み合わせが心地よく感じられる条件として、アメリカの色彩学者ジャッドは4つの原理を挙げました。濃淡の作り方は、この4つで点検できます。

  • 秩序:色を等しい間隔で選ぶ(明度の段差をそろえる)
  • なじみ:見慣れた並び方にする(明るい色ほど淡く、暗い色ほど濃く)
  • 類似性:共通する性質を持たせる(色相を同じにする)
  • 明瞭性:違いをはっきりさせる(隣り合う段の明るさの差を十分に取る)

原則 4色は、名前ではなく色の値で指定する

共同発表者や印刷会社と色をやり取りするときは、色名ではなく色の値で伝えます。画面の色なら「#235FC8」のような16進数の値(カラーコード)、印刷の色なら CMYK の値です。「濃い青」では人によって違う色になりますが、色の値なら同じ色を再現できます。

配色を考えるときは、色の値をそのまま覚える必要はありません。「1色目は中くらいの明るさの青」「マーカーは明るく淡い黄」のように、三属性の言葉で役割を決めてから、値を選びます。研究室でポスターの配色をそろえるときも、この順で決めると説明がしやすくなります。

!ありがちな失敗
症状:見出しの色とマーカーの色を、色相だけ変えて選ぶ。

濃い青の帯に、同じくらい濃いオレンジのマーカーを合わせると、色相は違っても明るさが近くなります。マーカーの上の黒い文字は読みにくく、白黒印刷では2色の区別もなくなります。2色目は、1色目と明度(明るさ)の差をはっきり付けます。明るさの差の確かめ方は、第2回で扱います。

今日からできるチェックポイント

  • 1色目(見出しの帯)は、白い文字が読める明るさか
  • 2色目(マーカー)は、黒い本文が読める明るさか。1色目と明るさの差があるか
  • 図の強調色は、あざやかで、1色目と色相か明度がはっきり違うか
  • 紙面の色は2色までか(2色の濃淡とグレーは数えない)。強調しない要素は、1色目の淡い濃淡かグレーか
  • 濃淡は、色相を変えずに明度を等しい間隔で変えているか
  • 共同発表者や印刷会社には、色名ではなく色の値で伝えているか
ポサコで実践するには

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次回は「読みやすさ」です。文字が読めるかどうかは、色相の違いではなく明るさの差で決まります。コントラスト比の目安と、白黒にして確かめる方法を解説します。

※本記事の図は、ポサコの作例用に自作したものです。配色の原則は、色彩学で一般に用いられる考え方(色の三属性、トーン、ジャッドの色彩調和の原理)に基づいています。