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ユサコ株式会社 ひらめきの となりに いつも ユサコナレッジ・サーキュレーション
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デザイン

学会ポスターの文字の読みやすさ|明度の差とコントラスト比(第2回)

赤と緑は、色相環では向かい合う、まったく違う色です。それでも、赤の地に緑の文字を置くと、とても読みにくくなります。文字の読みやすさを決めるのは、色みの違いではなく、文字と地の明るさの差です。第2回では、明るさの差を数値で確かめるコントラスト比と、ポスターでの使い方を解説します。

— コントラスト比と、白黒にして確かめる方法

ポサコデザインシリーズ③:ポスターの色彩 | 所要 約6分 | ポサコ

原則 1読みやすさを決めるのは、色相ではなく明度の差

文字と地の色の組み合わせで、読みやすさは大きく変わります。効いているのは明度の差です。色相の差や彩度の差は、読みやすさにはあまり効きません。

結果と考察 赤の文字 × 緑の地 色相は反対。比 1.3:1 結果と考察 黄の文字 × 白の地 明るさが近い。比 1.6:1 結果と考察 黒の文字 × 黄の地 明るさの差が大きい。比 12.8:1
中央と右は同じ黄色です。黄色を文字にすると白地では読めず、地にすると黒い文字がよく読めます。比は WCAG 2.2 の式で計算した値です。

色相が大きく違っても明るさが近い組み合わせでは、文字の輪郭がちらついて見えます。この見え方はリープマン効果と呼ばれています。赤と緑、青と赤のように、あざやかな色どうしを隣り合わせたときに起こりやすくなります。

原則 2明るさの差は、コントラスト比で確かめる

コントラスト比は、2つの色の明るさの比を表す数値です。ウェブのアクセシビリティの国際的な基準である WCAG 2.2 で定義されています。1:1 から 21:1 までの値をとり、白と黒の組み合わせが 21:1 です。ポスターでは次の目安を使います。

対象目安例
文字と地(本文・見出し・帯の上の文字・マーカーの上の文字)4.5:1 以上白い地に濃い文字、濃い帯に白い文字
図の要素と地(棒・線・点・アイコン)3:1 以上白い地に置いた強調色の棒

WCAG 2.2 では、大きな文字(18ポイント以上、または14ポイントの太字以上)の基準を 3:1 としています。ポスターは離れた距離から読むため、本シリーズでは文字の大きさにかかわらず 4.5:1 を目安にします。

色の組み合わせごとの値は、次のようになります。

組み合わせ比判定
白の文字 × 濃い青の帯(#235FC8)5.9:1文字に使える
白の文字 × 濃いオレンジの帯(#B85600)4.8:1文字に使える
白の文字 × 明るい水色の帯(#5DBADA)2.2:1文字には足りない。帯の上の文字を黒にする
白の地 × 明るいオレンジの棒(#ED7D31)2.8:1図の要素としても足りない。もう一段濃くする

原則 3帯の上の文字は、白か黒の読める方にする

見出しの帯の上の文字は、帯の色に対して白と黒のうち、比の大きい方を選びます。濃い帯なら白、淡い帯なら黒です。淡い色の帯に白い文字を置くと、色はきれいでも読めません。

方法 避けたい:淡い帯に白の文字(2.2:1) 方法 伝わる:同じ帯に黒に近い文字(7.6:1) 帯の色を変えずに、文字の色だけを変えた例。帯の色を濃くして白い文字のままにする方法もあります
帯の色が決まっている場合(学会や大学の指定色など)は、文字の色の側で読みやすさを確保します。

原則 4マーカーは明るく。1色目とは明るさの差を付ける

マーカー(2色目)の上では、黒い本文を読みます。マーカーの色は明度の高い、淡い色にします。濃いマーカーの上の黒い文字は、比が下がって読みにくくなります。

マーカーの色は、1色目(見出しの帯)とも、明るさの差をはっきり付けます。目安は、見出しの色とマーカーの色の明度の差(L*の差)で25以上です。ポサコの作例の配色も、この値で点検しています。明るさの差があれば、白黒で印刷しても、見出しの帯とマーカーを見分けられます。

原則 5白黒にして確かめる

明るさの差が足りているかは、紙面を白黒(グレースケール)にして見ると分かります。白黒にすると色相と彩度の違いが消え、明るさの差だけが残ります。白黒で読める文字は、カラーでも読めます。

カラー 結果 伸びは +18.4点 と従来の2倍以上 考察 白黒にすると 結果 伸びは +18.4点 と従来の2倍以上 考察 ↑ 文字が地に溶けて読めない
赤の帯に緑の文字(左下)は、カラーでは読めそうに見えても、白黒にすると文字が地に溶けます。明るさの差が足りない組み合わせです。

白黒にする方法は、PDF の印刷設定で「グレースケール」を選ぶ、画面のスクリーンショットを画像ソフトで白黒に変える、などがあります。学会によっては要旨集やポスターが白黒で印刷されることもあるため、この確認は配色の点検としても役立ちます。

!ありがちな失敗
症状:写真や模式図の上に、白い文字を直接のせる。

写真や模式図は、場所によって明るさが変わります。白い文字の一部が明るい所にかかると、その部分が読めなくなります。よくある例は次のとおりです。

  • 蛍光顕微鏡の写真の上に、白い文字で「核」「細胞膜」と書き、白い矢印を添える。明るく光る部分にかかったラベルが消える
  • 病棟や実験室の写真を見出しの背景に敷き、白い文字で題を重ねる。窓や白衣など、明るい部分の上の文字が読めない
  • 模式図の淡い水色の領域の上に、白い文字で説明を書く。淡い水色と白の比は約2.2:1しかない(原則2の表)
避けたい:明るい部分に白い文字 核 細胞膜 白い文字が、明るい核と光る膜に溶ける 伝わる:文字は図の外に出し、線で結ぶ 核 細胞膜 線は白い縁取りで、暗い図の上でも見える
蛍光顕微鏡の像を模したイラストです。ラベルは図の外に出し、引き出し線で結ぶと、像の明るさに左右されずに読めます。引き出し線には白い縁取りを付けると、暗い像の上でも見えます。図の上に文字を残したいときは、文字の後ろに半透明の暗い帯を敷きます。

今日からできるチェックポイント

  • 本文・見出し・帯の上の文字は、地とのコントラスト比が 4.5:1 以上か
  • 図の棒・線・点は、地との比が 3:1 以上か
  • 帯の上の文字は、白と黒のうち読める方を選んでいるか
  • マーカーは明るく淡い色か。見出しの色と明るさの差があるか
  • 色相は違っても明るさが近い組み合わせ(赤と緑など)を、文字と地に使っていないか
  • 紙面を白黒にして、文字と見出しの帯が読み分けられるか
ポサコで実践するには

帯とマーカーの組み合わせを選び、白黒で確かめる

  • 配色のプリセット — 1色目と2色目の関係が設計済みのプリセットから選べます。
  • PDF 出力 — 出力した PDF を白黒で印刷すると、明るさの差を確かめられます。
  • ポスター配色シミュレーター — 紙面の配色を選んで、見え方を確かめられます(無料)。
指定の色で、文字が読みやすいか分からないとき。 チャットで相談する →AIが応答します
個人で発表される方へ

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テンプレートに沿って入れ替えるだけ。学会前でも、形になったポスターから始められます。

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研究室で品質をそろえたい

メンバーが作るポスターの質がバラつく、指導に時間がかかる——テンプレートを研究室で共有できます。

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次回は「目を引く色」です。どの色が先に目に入るかには、決まった傾向があります。その傾向を使って、図の強調色を選ぶ方法を解説します。

※本記事の図は、ポサコの作例用に自作したものです。コントラスト比は、記事中の色の値から W3C『Web Content Accessibility Guidelines (WCAG) 2.2』(2024)の式で計算した値です。画面や印刷の条件によって、見え方は変わることがあります。