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デザイン

学会ポスターの3つの用途|同じ研究で作り分けて比べる

学会ポスターは、発表の形式によって役割が変わります。通路の人の足を止める「ひと目で伝える」、前に立って話す「説明しながら見せる」、発表者がいなくても読まれる「一枚で読み切る」。同じ研究から3枚ずつ作った9枚の作例で、題は同じまま、副題・本文の量・図の使い方がどう変わるかを比べます。

学会ポスターの用途 | 所要 約5分 | ポサコ

通路を行く人の足を止めたいのか、前に立って説明するのか、発表者がいない時間も読んでもらうのか。役割が違えば、本文の量も図の使い方も変わります。伝える結論は同じなので、題は 3 枚とも同じです。分野の違う 3 つの研究で、それぞれ用途の違う 3 枚を作り、並べて比べます。

連載との関係:連載「伝わる学術ポスター 実例で学ぶデザイン」は、発表者が前に立って説明する形式(説明しながら見せる)を対象にしています。このページでは、残る 2 つの用途を加えて 3 つを並べます。

13つの用途

ひと目で伝える

通路を行く人の足を止め、問いと答えを短い時間で届ける。

向く場面参加者もポスターも多く、一枚の前にいる時間が短い会場。話を聞きに来てもらう入口にする。

説明しながら見せる

発表者が前に立ち、図を指しながら話す。紙面は話の道しるべになる。

向く場面コアタイムに発表者が在席する、一般的なポスターセッション。

一枚で読み切る

発表者のいない時間も、読み手が一人で最後まで読み切る。

向く場面会期中ずっと掲示が続く、発表者が不在の時間が長い、紙面をあとから読み返してもらう。

2同じ研究で比べる

左から「ひと目で伝える」「説明しながら見せる」「一枚で読み切る」。画像を押すと大きく表示します。

食品・栄養減塩みそ汁の官能評価

食塩を減らしたみそ汁で、だしの濃さを変えて好まれ方を比べた研究です。

ひと目で伝える 本文 約540字・A0縦・1段
説明しながら見せる 本文 約1,070字・A0縦・1段
一枚で読み切る 本文 約2,420字・A0縦・3段

経営・マーケティングポイント 2 倍デーの効果検証

スーパーの会員の購買データで、ポイント 2 倍デーが来店を増やしたかを確かめた研究です。

ひと目で伝える 本文 約460字・A0縦・1段
説明しながら見せる 本文 約1,120字・A0縦・1段
一枚で読み切る 本文 約2,310字・A0縦・3段

環境牛舎のにおいの広がりと苦情

牛舎のまわりで朝・昼・夜のにおいを測り、住民の苦情と重ねた研究です。

ひと目で伝える 本文 約530字・A0縦・1段
説明しながら見せる 本文 約1,250字・A0縦・2〜3段
一枚で読み切る 本文 約2,440字・A0縦・1〜3段

3何が変わるか

題は 3 枚とも同じ、結論を一文で書いたものです。用途が変わっても、伝えたい結論は変わらないからです。変わるのは、副題と本文の量、図表の数と役割です。

ひと目で伝える説明しながら見せる一枚で読み切る
読み手通りがかりの人発表者の話を聞く人一人で読む人
題3 枚とも同じ。結論を一文で
減塩みそ汁は、だし 1.5 倍で通常並みに好まれる
副題何で確かめたかを一言で
食塩を 3 分の 2 にしたみそ汁を、40 人で飲みくらべました
研究の方法を短く
食塩 0.6% のみそ汁でだしの濃さを変えた官能評価
対象と測ったものまで具体に
食塩 0.6% のみそ汁の、かつお・昆布だしの濃度と官能評価・うま味成分
本文の量(A0)約 500 字約 1,000 字約 2,000〜2,500 字
本文の文字36pt32pt28〜36pt
見出し4〜5 本。問いかけの形5 本前後。番号を振る9〜11 本。番号を振る
図表主役の図を 1 点決めて大きく。図表は 3〜4 点と、数字を大きく示すカード結果の図を中心に 5〜6 点。話す順に並べる方法・結果・考察を図表で裏づける。表を含めて 6〜12 点
方法一文で示し、詳しくは口頭で要点を短く対象・手順・解析・倫理まで
締めくくり読み手にしてほしいこと(試す・話を聞く)まとめの枠考察・限界・結論・文献・連絡先

※ 本文の量は、本文の段落・要点の枠・数字のカード・文献を数え、題・見出し・キャプション・図表の中の文字は含めません。図表の点数は写真を除き、同じ範囲を並べた地図は 1 点と数えています。いずれも上の作例 9 枚の実測に基づく目安です。題・副題の例は減塩みそ汁の 3 枚から引きました。

4どれを選ぶか

発表者がいない時間も、紙面だけで読まれる?
はい → 一枚で読み切る
コアタイムに前に立ち、図を指して話す?
はい → 説明しながら見せる
まず通路の人に気づいてもらい、話を聞きに来てほしい?
はい → ひと目で伝える

学会の案内にある掲示の時間と発表の形式(コアタイムの有無、在席の時間)を先に確かめると、選びやすくなります。

5用途ごとの作り方の要点

ひと目で伝える
  • 副題で、何で確かめたかを一言添える
  • 主役の図を 1 点決め、いちばん大きく置く
  • 数字は大きなカードで示し、詳しい方法は口頭と連絡先に任せる
説明しながら見せる
  • 副題で、研究の方法を短く示す
  • 図は話す順に並べ、指さしやすい大きさにする
  • 本文は図を補う短い段落にし、話すことをすべては書かない
一枚で読み切る
  • 見出しに番号を振り、読む順を示す
  • 方法は、読み手が確かめられる粒度で書く(対象・手順・解析)
  • 限界と文献まで紙面に入れる

文字の大きさ・配色・図の扱いは、連載「伝わる学術ポスター 実例で学ぶデザイン」で詳しく解説しています。

6作例をさらに見る

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用途と紙面の型を選ぶところから始められます。次の発表に合う一枚を、作例を見ながら組み立ててください。

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※本ページのポスター画像は、ポサコで作成した作例です。研究データ・氏名・所属・町名はすべて架空です。写真は Adobe Stock を使用しています。本文の量・文字サイズの目安は当社作例の検証値に基づくもので、学会の規定・掲示サイズにより調整してください。